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問題社員の対応 ― 懲戒処分を行う場合の注意すべきポイント

離職後に元従業員と訴訟へと発展しないために留意する点

《注意する点は7つ》

①懲戒処分の種類を把握しておく

一般的には戒告<譴責<減給処分<出勤停止<降格<諭旨解雇<懲戒解雇の7つとなります。

右へいくほど処分が重くなっていきます。

・戒告・譴責とは?

《労働者に反省を求め、労働者を将来に向けて戒める懲戒処分》

戒告は、通例、将来を戒めるのみで始末書を提出させませんが、譴責は書面において反省の弁を求めることになりますこの書面を始末書といいます。この始末書でもって自己の非違行為を確認・謝罪し、将来同様の行為を行わないことを誓約させます。

この始末書を、もっと重い処分を科すかどうかの判断材料として使用することが見受けられますが、始末書はそのような性質の書面ではありません。

違反行為を犯してしまった経緯や事実確認、顛末を報告させるには、「顛末書、報告書」を提出させるようにして始末書とは区別する必要があります。

・減給処分

労働者が本来労務提供の対価として受け取るべき賃金の額から一方的に一定額を差し引く処分となります。

  • ◎1回の額(すなわち、1件の懲戒事案についての減給額)が平均賃金の1日分の半額を超えてはならない。
  • ◎数件の懲戒事案について減給処分を科す場合、その総額が一賃金支払い期において現実に支払われる賃金の総額の10分の1を超えてはならない。(労働基準法91条、昭和23年9月20日基収1789号、昭和25年9月8日基収1338号)という規定がありますので、減給を実行するには注意しなくてはいけません。

《ノーワーク・ノーペイの原則と減給は違う》

遅刻、早退や欠勤した場合にそれに応じた額が給与からカットされることで、労働義務を履行しなかったことによるものです。

働いていないから、報酬を渡すことはできないということです。これは減給とは違います。

また、配置転換や降格により賃金(基本給)が減ってしまうことも、雇用契約条件に基づき行われることで、これも減給とは意味合いが違ってきます。

・出勤停止

出勤停止とは、労働契約を存続させつつ、非違行為に対する制裁として一定期間、労働者の就労を禁止する処分をいいます。出勤停止期間中は賃金が支給されず、停止期間中は勤続年数にも通算されないものとなるのが一般的です。

・降格処分

懲戒処分においての降格とは、服務規律に違反した労働者に対する制裁として、役職、職位、職能資格等を引き下げる処分ということになります。

前述もしていますが、セクハラ、パワハラなどを行ったことによりコンプライアンス違反に該当すると判断されて役職、職位などを降格することです。

・諭旨解雇

労働者に対し一定期間内に退職届の提出を勧告し、勧告に従い退職届が提出された場合は依願退職扱いとし、提出されない場合は懲戒解雇とする処分です。これは懲戒解雇に次ぐ、かなり厳しい処分といえます。

退職金が一部支給されない、または全額支給されないこともあります。

・懲戒解雇

懲戒処分の中で一番重い処分です。

就業規則では解雇の予告や解雇予告手当の支払いをせずに即時に行うと書かれていることが多くありますが、通常は、懲戒解雇を根拠づけるだけの事由が存在すれば、労基法20条1項但し書きに規定する除外事由に該当する場合が多いでしょうから、解雇予告なく即時解雇ができる場合が多いとされます。ただ、厳密には、除外事由と懲戒解雇事由は別の規律ですので、注意が必要です。

②就業規則への懲戒規定の定め

就業規則へ懲戒規定を定め方としてモデル例を記載しておきます。

以下の13項目においては最低でも網羅しておく必要があります。

第▲条(懲戒の種類と懲戒事由の適用)

懲戒事由は、以下のとおりとし、情状に応じ、戒告、譴責、減給、出勤停止、降格、諭旨退職、懲戒解雇に処する。

  1. 無断もしくは正当な理由なく欠勤、遅刻、早退を重ねたとき
  2. 出退勤時刻にかかる情報の不正を行った、不正を依頼した場合
  3. 第○章に定める服務の規定に違反した場合
  4. 会社内において刑法その他刑罰法規の各規定に違反する行為を行い、その犯罪事実が明らかとなったとき
  5. 刑事事件で有罪の判決を受けたとき
  6. 経歴を偽り、採用されたとき
  7. 故意または過失により、災害または営業上の事故を発生させ、使用者に損害を与えたとき
  8. 職務上の地位を利用し、第三者から報酬を受け、若しくはもてなしをうける等、自己の利益を図ったとき
  9. 暴行、脅迫その他不法行為をして、所属する組織の従業員としての体面を汚したとき
  10. 正当な理由なく、業務上の指示・命令に従わなかったとき
  11. 私生活上の法違反行為や使用者に対する誹謗中傷等によって使用者の名誉信用を傷つけ、業務に悪影響を及ぼすような行為があったとき
  12. 使用者の業務上の秘密を外部に漏洩して使用者に損害を与え、または業務の正常な運営を阻害したとき
  13. その他前各号に準ずる程度の不都合な行為のあったとき

これらは、あくまでもモデル例であり、会社の業種によって改定する必要があります。

就業規則の改定において、後々従業員とのトラブルにならないために専門家へのアドバイスを受けることをお勧めいたします。

③始末書を提出しない従業員への対応

問題社員に対して、戒告を行い、口頭での反省を促して、まだ状況が変わらず問題行為を重ねるとなると、譴責となり始末書の提出を求めます。

しかしこの始末書を提出しない社員が存在します。

この始末書提出を義務付けるためには、就業規則において「始末書を提出する」ことを定めておく必要があります。

《始末書の提出は業務秩序の回復を図るために必要》

裁判所の判例によると、始末書の提出命令は業務秩序の回復を図るためになされる業務上必要な指示であり、労働者は、労働契約上企業秩序維持に協力する一般的義務を負うものであるから、始末書の提出を強制する行為が労働者の人格を無視し、意思決定ないし良心の自由を不当に制限するものでない限り、労働者は正当な理由がない限りこれを拒むことができないとしています。

また、始末書不提出はその後の考課査定や配置昇進に関する裁量の中で考慮されるのであるから、提出要請に応じる方が、労働者にとっても良いでしょう。

何度催促しても始末書を提出しない問題社員には、書面に「あなたの不利に斟酌される可能性があります」という一文を入れて通知するなど、始末書不提出の不利益などを説明し、督促し続けましょう。

④弁明の機会が必要

《弁明の機会は必ず必要なのか?》

就業規則に懲戒処分に対しての弁明の機会を与えるという規定がある場合と、規定していない場合があります。規定がある場合は、当然弁明の機会を与える必要がありますし、規定していない場合であっても弁明の機会を与える必要があります。特に次のような時は弁明の機会は必要です。

例えば、特に懲戒解雇のような重い処分を予定している場合や、処分対象者が事実関係に異議を唱えているような場合等には、弁明の機会を与えるほうが良いと考えられます。面談して従業員の言い分に耳を傾ける必要があります。

また、弁明の機会を付与せずに懲戒権の行使をしてしまった場合、手続き的な相当性を欠くものとして労使紛争、訴訟においてマイナスの影響を及ぼしうることも想定できます。

⑤懲戒処分は文書で行う

また、就業規則における懲戒処分の規定に、文書で通知しなければならない旨の規定がなかったとしても、懲戒処分に関しては口頭ではなく文書で通知しておく方が良いです。

《解雇権濫用と言われないために》

面談の機会を持ち、相手の言い分にも耳を傾けたうえで、処分を実行する際にも、文書で明確に懲戒事由と処分内容を通知しておく必要があるでしょう。

⑥処分の範囲

懲戒処分の法的根拠に関する判例や学説は数多く存在します。就業規則に規定された懲戒処分の範囲内でのみ処分が可能とするものや、就業規則に規定がなくても処分は可能とするものなどもあります。

先述してきましたとおり、民間企業における処分範囲は、就業規則に規定しておく必要があります。

ですから、訴訟になった場合は、この就業規則の規定内容が争点のポイントとなります。

⑦安易な解雇をすると解雇期間中の賃金支払い義務が発生する可能性あり

【裁判で解雇が無効と判断されると争っている間の賃金を支払う必要がある】

労働者は、民法623条雇用契約において「会社(使用者)に労務提供をするのと引き換えに会社(使用者)から賃金を得る。」という権利があります。これを労働者の賃金請求権といいます。

解雇が裁判所にて無効という判断をくだされたということは、労働契約は有効に存続していたことになり、その期間中の賃金を会社が支払う必要があるのです。

このことから、安易に就業規則に規定のない解雇処分を行う、そして協議の場を持つことなく一方的な安易な解雇を行うと、訴訟費用のみならず未払い賃金の支払いなど大きな出費が発生します。これは会社経営にとって大きなリスクとなります。

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