労務

メンタルヘルス問題と使用者の損害賠償責任

埼玉法律事務所 所長 弁護士 辻 正裕

監修弁護士 辻 正裕弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所 所長 弁護士

  • メンタルヘルス

メンタルヘルス問題の現在

現在では、労働者の半数が仕事に関してストレスを感じているとの統計もあり、また、職場におけるハラスメントに起因する精神障害に関する労災の支給決定は、平成30年には69件にも及びます。

自社に勤める労働者にメンタルヘルス問題が生じた場合、使用者である会社が損害賠償責任を負う可能性が出てきます。

メンタルヘルス社員とは

いわゆるメンタルヘルス社員とは、心の健康状態に問題がある社員のことを意味する言葉として用いられることが多いです。

この場合、私傷病なのか、業務に起因するものなのかを問わず、意味しています。

うつ病などに罹患した場合のリスク

メンタルヘルスの不調が進行していくと、うつ病や適応障害などの精神疾患まで発展する恐れもあり、程度によっては休職に至ることがあり得ます。

メンタルヘルス社員に対して使用者が賠償責任を負う場合

使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとすると定められています(労契法5条)。

そのため、そのメンタルヘルスが業務に起因する場合はもちろん、純粋な私傷病に起因するものであっても、復職後の症状の悪化については、損害賠償責任を負うことがあります。

職場におけるハラスメントに起因する場合

職場におけるハラスメントに起因する場合、業務執行に伴う場合には、使用者責任による損害賠償責任を負うことがあり、また会社がとるべきハラスメント防止措置を取らなかったことから、行為者がハラスメントに及んだ場合などは、会社が安全配慮義務違反等に基づく損害賠償責任を負うことがあります。

パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)が施行されることや、昨今の風潮からすれば、会社のハラスメント防止措置が不十分であった場合には、会社が安全配慮義務違反等に基づく損害賠償責任を負う可能性は高いといわざるを得ません。

過重労働に起因する場合

働き方改革によって、時間外労働には上限が設けられましたが、これには過労死対策(精神障害を含む)という面が大きいです。

労災支給に関する心理的負荷による精神障害の認定基準をみると、発病日から直前の1か月間に概ね100時間を超える時間外労働がなされていた場合には、心理的負荷の総合評価は強いとされており、過重労働に起因するうつ病については、業務起因性が認められやすく、また過重な時間外労働を会社が抑制していないことに関して、安全配慮義務違反等に基づく損害賠償責任を負う可能性が高いです。

復職後の対応で損害賠償責任を負う場合

前述したとおり、使用者が負う安全配慮義務は、復職後についても含まれます。

安易な復職によって、会社の配慮がたらず、私傷病によるメンタルヘルスが、職場において悪化してしまった場合には、会社が損害賠償責任を負うリスクがあります。

メンタルヘルス問題による損害賠償責任でお悩みの企業の方は弁護士にご相談ください

以上に述べてきたように、メンタルヘルス問題に関する対応を間違えれば、会社が賠償責任を負うことがあり得ます。

このようなリスクが顕在化することが無いように、ハラスメント防止、長時間勤務の抑制、休職や復職後の対応を行っていく必要があります。

もっとも、メンタルヘルス問題に関しては、特に事案ごとの対応が必要なことも多く、会社内だけで対処するのは困難なことも非常に多いです。

埼玉県内で、メンタルヘルス問題による損害賠償責任でお悩みの企業の方は、ぜひ一度、弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所にご相談ください。

埼玉法律事務所 所長 弁護士 辻 正裕
監修:弁護士 辻 正裕弁護士法人ALG&Associates 埼玉法律事務所 所長
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